潰瘍性大腸炎専門外来
潰瘍性大腸炎専門外来

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、潰瘍やびらん(ただれ)が形成される原因不明の消化器疾患です。主に10代後半から30代の比較的若い世代に発症しやすいことが知られていますが、近年では高齢者を含めた幅広い年齢層での発症も増加傾向にあります。この病気は、症状が激しく現れる「活動期(再燃期)」と、治療によって症状が落ち着いて安定する「寛解期(かんかいき)」を何度も繰り返すという大きな特徴を持っています。そのため、一時的に症状が良くなったからといって自己判断で治療を中断してしまうと、高い確率で再燃を招き、大腸の粘膜に深刻なダメージを蓄積させてしまいます。
潰瘍性大腸炎は国の「指定難病」に登録されていますが、決して治療法がないわけではありません。近年、医療の進歩にともなって非常に優れた効果を持つ新しいお薬や分子標的治療薬が開発されており、専門医のもとで適切な管理を行えば、病気のない方と変わらない健やかな日常生活や社会生活を送ることが期待できるようになっています。当院の潰瘍性大腸炎専門外来では、炎症性腸疾患の専門的な資格を持つ医師が、確実性の高い内視鏡診断から寛解維持のためのきめ細かな薬物療法までを一貫して提供しています。「慢性的な下痢や血便が続いているけれど、どこを受診すれば良いのか分からない」とお悩みの方に寄り添い、お一人おひとりの病態に最適に合わせた長期的なサポートを行っていきます。
日々の生活や排便の際に、以下のような症状や他院での治療に対する不安、疑問を覚えた場合は、お早めに当院の専門外来を受診してください。
潰瘍性大腸炎にともなうお腹の不調や社会生活における不安は、周囲に相談しづらく、お一人で抱え込んでしまいがちです。当院では、お話を丁寧に伺いながら現在の炎症の状態を正しく評価し、安心して毎日の生活を送るためのお手伝いをいたします。
当院は、日本炎症性腸疾患(IBD)学会連携専門医および日本消化器内視鏡学会専門医の資格を有する医師が診療します。潰瘍性大腸炎の確定診断や病勢の正確な評価には、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による粘膜の直接的な観察が極めて重要です。専門医としての豊富な臨床経験に基づき、粘膜のわずかな発赤や血管透見像の消失、潰瘍の広がりを詳細に見極めます。さらに、最新の内視鏡システムを導入し、安全第一の優しい手技で大腸カメラを施行するため、炎症を起こしているデリケートな大腸の粘膜を傷つけることなく、お体に最小限の負担で精密な検査を行う環境を徹底しています。
潰瘍性大腸炎は、現在のところ完全に治すことができる治療法は確立されていません。そのため、治療の目標は腸の炎症をしっかりと抑え、症状のない「寛解」の状態をできるだけ長く維持し、発症前と変わらない日常生活を送れるようにすることです。症状が強く現れている活動期(再燃期)には、速やかに炎症を抑えて寛解へ導く「寛解導入療法」を行います。一方、症状が落ち着いた寛解期には、再燃を予防し、良好な状態を維持するための「寛解維持療法」を継続します。治療の基本は薬物療法です。軽症から中等症では、腸の炎症を抑える5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA製剤)が第一選択となります。炎症が強い場合には、ステロイド薬を一時的に併用して炎症を速やかに鎮めることがあります。
病状によっては、免疫調節薬や免疫抑制薬、生物学的製剤(抗TNF-α抗体など)、JAK阻害薬などの分子標的治療薬を使用することもあります。患者様一人ひとりの症状や重症度、治療経過に応じて、最適な治療法を選択していきます。薬物療法で十分な効果が得られない場合には、血球成分除去療法を行うことがあります。この治療では、血液を体外へ循環させ、炎症に関与する活性化した白血球を専用のカラムで除去した後、再び体内へ戻すことで炎症を抑えます。これらの治療を行っても病状の改善が得られない場合や、重篤な合併症を認める場合、あるいは大腸がんや前がん病変が疑われる場合には、外科手術が必要となることがあります。
潰瘍性大腸炎は指定難病であるため、病状が一定の基準を満たしている場合、または長期にわたり高額な医療費が発生する場合には、国の「難病医療費助成制度」を受けることが可能です。当院の院長は神奈川県難病指定医の資格を満たしているため、助成制度の申請に必要不可欠な「臨床調査個人票(診断書)」の作成を院内でスムーズに行うことができます。初めて難治性の病気と診断されて経済的な不安を抱える患者様に対しても、医療費の負担を軽減するための各種公的制度のご案内や手続きの進め方を、医療スタッフが親身になって分かりやすくサポートいたします。
潰瘍性大腸炎の治療中、現在の炎症の強さを把握するために毎回大腸カメラを行うことは、患者様のお体にとって大きな負担となります。当院では、院内で迅速な採血・血液検査が可能な体制を整えており、体内の炎症反応(WBCやCRPなど)をその日のうちに数値化して評価することができます。また、便を用いた検査によって大腸の炎症状態をピンポイントで反映するバイオマーカー(便中カルプロテクチン検査など)も積極的に導入しています。お体に優しい負担の少ない方法を組み合わせることで、再燃の兆候をいち早く察知し、タイムリーなお薬の調整へと繋げています。
潰瘍性大腸炎は、大腸のどの範囲まで炎症が広がっているか、またどのくらい症状が強いかによって病型や治療方針が細かく分かれます。当院では、患者様の病態を客観的に分類し、最適な個別化治療を行います。
炎症が大腸の終着点である直腸のみに留まっている病型です。潰瘍性大腸炎のなかでは比較的軽症に分類されることが多いですが、直腸は便を溜めておく重要な役割を果たしているため、炎症が起こると激しい便意(しぶり腹)や、頻繁な血便、粘血便が生じやすくなります。当院では、病変部に直接作用して全身の副反応が比較的少ない5-ASA(5-アミノサリチル酸)製剤の坐薬や注入軟膏といった局所療法を第一に選択し、粘膜の炎症を効果的に鎮めていきます。
直腸から始まり、大腸の左側にあたる下行結腸や脾湾曲部まで炎症が広がっている病型です。下痢や血便の回数が増加し、排便時の下腹部痛を伴うケースが比較的多く見られます。当院では、5-ASA製剤の内服薬をベースとしながら、局所療法を柔軟に組み合わせて治療を行います。炎症が長引くことで左側大腸の機能が低下するのを防ぐため、生活習慣のアドバイスと連動させながら、迅速に粘膜の寛解状態を目指すアプローチを行います。
直腸から大腸の一番奥にあたる盲腸にいたるまで、大腸のほぼ全域に炎症が広がっている病型です。病変の範囲が広いため、持続する激しい下痢や血便に加え、発熱、体重減少、貧血、強い全身倦怠感といった全身の症状を伴うリスクが高くなります。当院では、基本の5-ASA製剤に加え、炎症を強力に抑えるステロイド薬の適切な期間に限定した処方や、免疫を調節するお薬、さらには最前線で開発された分子ターゲット薬の導入を慎重に検討し、再燃しにくい強固な寛解状態を維持するための包括的な薬物治療を組み立てます。
潰瘍性大腸炎という指定難病の診断を受けたとき、多くの方が「これからずっとお薬を飲み続けなければいけないのだろうか」「学校やお仕事を今まで通り続けられるのだろうか」と不安になるかと思います。しかし、現代のIBD医療は非常に洗練されており、専門医による正しい診断と、お一人おひとりの生活環境に合わせた適切なお薬のコントロールがあれば、多くの患者様が病気の発症前と変わらない、充実した毎日を送り続けることができています。
当院の専門外来では、医療としての正確性を最優先に追求することはもちろんですが、何よりも患者様が日々の食事の悩みや社会生活での困りごとを気軽に打ち明けられるパートナーでありたいと考えています。「長年続くお腹の不調の原因をはっきりさせたい」という方も、現在他院に通院中で「より通いやすい専門クリニックでの治療継続」を希望されている方も、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
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