肝臓・胆のう・膵臓の疾患
肝臓・胆のう・膵臓の疾患

肝臓は体内の解毒・代謝・タンパク質合成など多くの機能を担う重要な臓器です。何らかの原因で肝細胞が障害されると、これらの機能が低下した状態を肝機能障害といいます。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気が進行しても自覚症状が出にくいため、健康診断の血液検査で初めて異常を指摘されることが多い疾患です。
肝機能障害の主な原因は以下の通りです。
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、肝機能障害の最も多い原因とされています。初期にはほとんど自覚症状がありませんが、放置すると肝炎や肝硬変、肝がんへ進行することがあります。当院では腹部超音波検査に加え、「肝硬度(肝臓の硬さ)」も測定できるため、脂肪肝の程度だけでなく肝線維化の評価まで行うことが可能です。
肝炎ウイルスの感染によって肝細胞に炎症が起きる疾患です。慢性化すると肝硬変・肝がんへと進展するリスクがあります。
過剰な飲酒によって肝細胞が障害される状態です。脂肪肝・肝炎・肝硬変へと段階的に進行することがあります。
薬の副作用や健康食品・サプリメントの摂取によって肝機能が低下することがあります。
肝機能障害の初期は無症状のことが多いですが、進行すると倦怠感・食欲不振・体重減少・黄疸・腹部膨満感(腹水)などが現れることがあります。
血液検査でAST・ALT・γGTP・ALP・ビリルビンなどの肝機能値を確認します。腹部超音波検査・CT検査・MRI検査で肝臓の形態を評価します。必要に応じて肝生検(肝臓の組織を採取して調べる検査)を行うこともあります。治療は原因によって異なります。ウイルス性肝炎には抗ウイルス薬による治療が有効です。脂肪肝・アルコール性肝障害では生活習慣の改善(禁酒・食事療法・運動療法)が基本です。薬物性肝障害では原因となる薬の中止が必要です。健康診断で肝機能異常を指摘された場合は、放置せず早めに消化器内科を受診されることをおすすめします。
胆のうの内壁にできるイボ状の隆起を胆のうポリープといいます。多くは健康診断や人間ドックの腹部超音波検査で偶然発見されます。胆のうポリープの90%以上はコレステロールポリープという良性のものですが、一部にはがん化するリスクがあるポリープも含まれるため、定期的な経過観察が重要です。
胆のうポリープの原因はポリープの種類によって異なります。最も多いコレステロールポリープは、胆汁中のコレステロールが析出して胆のう壁に沈着したものです。その他、炎症性ポリープ・腺腫(せんしゅ)などがあります。胆のうポリープ自体はほとんどの場合、自覚症状がありません。まれに右上腹部の不快感や鈍痛が現れることがあります。
腹部超音波検査が基本の検査です。ポリープの大きさ・数・形状・内部構造を評価します。血液検査(肝機能・腫瘍マーカー)を補助的に用いることもあります。コレステロールポリープなど良性のポリープは経過観察が基本です。ただし、以下の場合は手術(胆のう摘出術)が検討されます。ポリープのサイズが10mmを超える場合、急速に大きくなっている場合、超音波検査で悪性が否定できない場合などです。定期的な超音波検査による経過観察を継続することが重要です。
胆汁(消化液)の成分が固まって結石になったものを胆石といいます。胆石ができる場所によって胆のう結石・胆管結石・肝内結石に分類され、最も多いのは胆のう結石です。胆石を持つ方の多くは無症状ですが、胆石が胆のうや胆管に詰まると激しい腹痛(胆石発作)が起きることがあります。
胆石の主な成分はコレステロールやビリルビン(胆汁色素)です。コレステロール結石は胆汁中のコレステロールが過剰になることで形成されます。肥満・高脂肪食・急激な体重減少・脂質異常症・妊娠・加齢などが危険因子として知られています。無症状の場合も多いですが、食後(特に脂っこい食事の後)に右上腹部やみぞおちに激しい痛みが起きることがあります(胆石発作)。胆石が胆管に落下して詰まると、黄疸・発熱・激しい腹痛が現れ、急性胆管炎や急性膵炎を引き起こすことがあります。
腹部超音波検査が最も有用な検査です。CT検査・MRI(MRCP)検査で胆石の位置・大きさ・胆管への影響を評価します。無症状の胆のう結石は経過観察が行われる場合もありますが、症状がある場合や胆のう炎を繰り返す場合は腹腔鏡下胆のう摘出術が標準的な治療です。胆管結石は内視鏡的処置(EST・ERCP)によって結石を除去することができます。胆石発作が疑われる激しい腹痛が起きた場合は、速やかに受診されることをおすすめします。
膵臓の中や周囲に液体が溜まった袋状の病変を膵のう胞といいます。健康診断や人間ドックの腹部超音波検査・CT検査・MRI検査などで偶然発見されることが多い疾患です。膵のう胞にはさまざまな種類があり、良性のものからがん化するリスクがあるものまで含まれます。種類と性質に応じた適切な経過観察・治療が重要です。
膵のう胞の主な種類は以下の通りです。
膵管の内側に腫瘍ができ、粘液を産生することで膵管が拡張してのう胞のように見える病変です。最も多く見られる膵のう胞のひとつです。多くは良性ですが、一部は時間をかけてがん化する可能性があるため、定期的な経過観察が推奨されています。
急性膵炎や慢性膵炎の後遺症として膵臓周囲に液体が溜まった状態です。自然に吸収されることもあります。
ほとんどが良性で、がん化するリスクは非常に低いとされています。
主に女性に見られ、がん化するリスクがあるため注意が必要です。
膵のう胞自体はほとんどの場合、自覚症状がありません。大きくなると腹部の不快感・腹痛・背部痛・食欲不振などが現れることがあります。
腹部超音波検査・CT検査・MRI(MRCP)検査でのう胞の種類・大きさ・膵管との関係を評価します。必要に応じて超音波内視鏡(EUS)検査を行い、のう胞の詳細な性状を確認します。良性と判断された膵のう胞は定期的な画像検査による経過観察が基本です。IPMNでは国際診療ガイドライン(Kyoto Guidelines 2024)に基づき、のう胞の大きさや性状に応じて経過観察の間隔や手術の適応を判断します。がん化のリスクが高いと判断された場合や症状が強い場合は外科手術が検討されます。膵のう胞を指摘された場合は、放置せず消化器内科を定期的に受診されることをおすすめします。
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