大腸・小腸の疾患
大腸・小腸の疾患
大腸カメラ検査で精密検査が可能です

大腸の粘膜の一部がイボ状に隆起した状態を大腸ポリープといいます。多くは便潜血検査や大腸カメラ検査で偶然発見されます。大腸ポリープはがん化する可能性があるため、早期発見・早期切除が大腸がんの予防につながります。
大腸ポリープの発生には、食の欧米化(高脂肪・高カロリーの食事)・運動不足・肥満・飲酒・喫煙・加齢・遺伝的素因などが関与していると考えられています。自覚症状はほとんどなく、大きくなると血便・便潜血陽性・腹痛・便通異常が現れることがあります。
便潜血検査が陽性になった場合、大腸カメラ(大腸内視鏡検査)による精密検査を行います。大腸カメラでポリープを発見し、大きさ・形状・色調などから性質を判断します。必要に応じて組織を採取して病理検査を行います。がん化リスクがある大腸ポリープは内視鏡的切除術(ポリペクトミー・EMR)によってその場で切除することができます。切除後は定期的な大腸カメラによる経過観察が重要です。
大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生するがんです。日本人の死因の第一位であり、非常に危険な病気ですが、早期発見であれば内視鏡治療で根治できる場合があります。大腸がんの多くは大腸ポリープが長い年月をかけてがん化することで発生するため、ポリープの段階での切除が最大の予防策となります。
大腸がんの主な危険因子は、赤肉・加工肉の過剰摂取・肥満・運動不足・飲酒・喫煙・加齢などです。大腸がんや大腸ポリープの家族歴がある方は発症リスクが高まります。また、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患も大腸がんのリスク因子のひとつです。早期大腸がんは自覚症状がほとんどありません。進行すると血便・便潜血陽性・便秘や下痢の繰り返し・便が細くなる・残便感・腹痛・体重減少・貧血などが現れることがあります。症状が出た段階では進行していることも多いため、定期的な検診が大切です。
便潜血検査が大腸がんのスクリーニング検査として広く行われています。確定診断には大腸カメラ検査が必要で、病変を直接観察し組織を採取して病理検査を行います。早期大腸がんは内視鏡的切除術(EMR・ESD)で根治できる場合があります。進行がんでは外科手術・化学療法・放射線治療などが検討されます。
炎症性腸疾患(IBD:Inflammatory Bowel Disease)は、腸に慢性的な炎症を起こす病気の総称で、主に潰瘍性大腸炎とクローン病があります。いずれも厚生労働省に指定難病として認定されており、長期的な治療・管理が必要な疾患です。若い世代にも多く、適切な治療によって症状をコントロールしながら日常生活を送ることが重要です。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的素因・免疫異常・腸内細菌叢の変化・環境因子などが複合的に関与していると考えられています。
潰瘍性大腸炎は主に大腸の粘膜に炎症が起き、血液や粘液の混じった下痢(粘血便)・腹痛・発熱・体重減少が主な症状です。症状が治まる「寛解期」と悪化する「再燃期」を繰り返す経過をたどります。クローン病は口から肛門までの消化管全域に炎症が起きる可能性があり、腹痛・下痢・発熱・体重減少・肛門部の病変(痔ろうなど)が主な症状です。若い世代(10〜20代)に多い傾向があります。
大腸カメラ・小腸検査・血液検査・便検査などを組み合わせて診断します。治療は炎症を抑える薬(5-ASA製剤・ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤など)を症状に応じて使用します。食事療法・生活習慣の改善も重要です。当院ではIBD連携専門医・神奈川県難病指定医による専門的な診療を行っています。
大腸カメラや血液検査などで明らかな異常が見つからないにもかかわらず、腹痛・腹部不快感とともに下痢・便秘・あるいはその両方が繰り返す状態です。「お腹が弱い」と感じている方に多く見られ、日常生活の質を低下させることがある疾患です。
原因は完全には解明されていませんが、腸の運動機能の異常・内臓知覚過敏(腸が刺激に対して過敏になっている状態)・腸内細菌叢の変化・心理的ストレスなどが複合的に関与していると考えられています。主な症状は腹痛・腹部不快感とともに起きる排便異常(下痢型・便秘型・混合型)です。排便によって腹痛が和らぐことが特徴のひとつです。緊張やストレスによって症状が悪化しやすく、食事内容が影響することもあります。
他の疾患(大腸がん・炎症性腸疾患など)を除外するために大腸カメラ検査や血液検査を行い、異常がないことを確認した上で診断します。治療は症状に応じて、腸の運動を整える薬・整腸剤・下痢止め・便秘薬・抗不安薬などを使用します。食生活の改善(食物繊維・水分摂取・特定食品の回避)やストレス管理も重要です。
細菌・ウイルス・寄生虫などの病原体に汚染された飲食物を摂取することで起こる腸の炎症です。いわゆる「食中毒」も感染性腸炎のひとつです。多くは数日で自然に回復しますが、症状が重い場合や高齢者・乳幼児・免疫が低下した方では重症化することがあります。
主な原因となる病原体は以下の通りです。
主な症状は腹痛・下痢・嘔吐・発熱です。血便を伴う場合は腸管出血性大腸菌(O157)や虚血性腸炎・炎症性腸疾患との鑑別が必要です。症状は感染後数時間〜数日で現れます。
問診(飲食歴・症状の経過)と便培養検査・血液検査などで原因菌を特定します。大腸カメラで腸の炎症の状態を確認することもあります。治療は脱水予防のための水分補給・電解質補給が基本です。細菌感染の場合は抗菌薬が使用されることがあります。腸管出血性大腸菌(O157)感染では安易な下痢止め薬の使用は避けることが推奨されています。
大腸に血液を送る動脈の血流が一時的に低下することで大腸粘膜に炎症・びらん・潰瘍が起きる疾患です。突然の激しい腹痛と血便が特徴で、高齢者や便秘がちな方に多い傾向があります。多くは一過性で保存的治療で回復しますが、重症化すると腸に狭窄や壊死を起こすこともあります。
動脈硬化・高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病による血管病変、便秘による腸管内圧の上昇、脱水などが誘因となることが多いです。突然の左下腹部の激しい腹痛の後、下痢・鮮血便が現れます。発熱を伴うこともあります。症状は潰瘍性大腸炎や感染性腸炎と似ているため、大腸カメラによる鑑別が重要です。
大腸カメラ検査で大腸粘膜のびらん・潰瘍・出血の分布から診断します。発症直後の検査が最も所見が明確に現れます。多くの場合、絶食・安静・点滴による補液などの保存的治療で回復します。腸の狭窄や壊死が生じた場合は外科手術が必要になることがあります。
大腸の壁の弱い部分がポケット状にくぼんだものを「憩室(けいしつ)」といい、この憩室に炎症が起きた状態を憩室炎といいます。食物残渣(ざんさ)や細菌が憩室内に溜まることで炎症が生じます。加齢とともに憩室は増える傾向があり、特に50歳以上の方に多い疾患です。
食物繊維が不足した食生活・便秘・加齢などによって大腸内圧が上昇し、大腸壁の弱い部分が外側に突き出して憩室が形成されます。憩室自体は無症状のことがほとんどですが、憩室内に便や細菌が溜まると炎症(憩室炎)を起こします。主な症状は腹痛(特に左下腹部)・発熱・吐き気・食欲不振です。炎症が進行すると腸管が穿孔(せんこう)して腹膜炎を起こすことがあります。
血液検査(炎症反応の確認)・腹部CT検査・大腸カメラ検査などで診断します。軽症の場合は抗菌薬・安静・食事制限による保存的治療を行います。重症の場合や穿孔を起こした場合は入院治療・外科手術が必要になることがあります。再発を防ぐために、日頃から食物繊維を十分に摂ることや便秘を解消することが重要です。
大腸の始まりの部分(盲腸)に付いている細い袋状の突起(虫垂)に炎症が起きた状態です。いわゆる「盲腸」と呼ばれる病気です。虫垂内腔が詰まり細菌が増殖することで炎症が生じます。放置すると虫垂が穿孔して腹膜炎を起こす危険があるため、早期診断・早期治療が重要です。
虫垂の内腔が硬い便や異物・リンパ組織の腫れなどで詰まり、細菌が増殖することで炎症が起きます。最初はみぞおちや臍(へそ)周辺に痛みが現れ、時間とともに右下腹部に移動・集中していくのが典型的な経過です。発熱・吐き気・嘔吐・食欲不振を伴うことが多いです。右下腹部を押したときに強い痛みがある場合(圧痛・反跳痛)は虫垂炎が疑われます。
血液検査(白血球数・炎症反応)・腹部超音波検査・CT検査などで診断します。診断がついた場合は外科的手術(虫垂切除術)が標準的な治療です。軽症の場合は抗菌薬による保存的治療が行われることもありますが、再発のリスクがあります。腹痛が急激に強くなった場合は速やかに医療機関を受診されることをおすすめします。
TOP